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【受験記】航空無線通信士 電気通信術とは

半分趣味、半分仕事の理由で、航空無線通信士を受験し、合格することができました。
受験前にどんな試験か非常に気になったこともあり、参考まで、記録しておくことにします。

まず、航空無線通信士とはどんな資格か。ここを見に来てくださった方はたいていご存知かもしれません。
イメージ的には、パイロット! 航空管制官! というイメージがありますが、操縦士や航空管制官を目指していない人がこの資格を取ったからといって、それらの職に転向できるわけではありません。
確かに必要ですが、あくまで必要な資格のうちの1つでしかないのです。

では何に使うのかと言われれば、私の場合は航空局、航空機局のメンテナンスです。
完全なメンテナンスをするには第一級陸上無線技術士などの上級資格が必要ですが、点検程度ということで。
航空無線通信士は、航空局、航空機局の外部の部分の調整に係る技術操作が認められており、点検員の条件にもなっています。

受験者は大体20人いないくらいかなと思っていたら、試験会場では80人以上いたので驚きでした。
多くが専門学校生、大学生に見えましたが、会話や雰囲気を効いていて、空の職を目指している感じではなかったです。
進級するにあたって取らされている、ような印象を受けました。

難易度はそんなに高くない印象でした。
第四級アマチュア無線技士程度の知識があり、航空関連に興味があり、英語に少し興味があればゆるーく勉強すれば合格できる気がします。

ちなみに私のスペック(?)ですが、無線従事者の資格は他に、第四級アマチュア無線技士、第三級陸上特殊無線技士、第一級陸上特殊無線技士を持っています。
英語は、リスニングは英語のテレビ番組を見て細かいことはわからないけど話の大筋が分かる程度、だいたい高校受験のリスニングに毛が生えた程度くらいです。
読みの方はこれまたなんとなく内容の大筋が分かる程度、細かいことはだめです。
会話は話しかけられるとあわあわして話したい内容がすぐに出てこず、返事できません。
TOEICは最高で700点でした。
という程度のへっぽこです。
電気通信術に必要なフォネティックコードは、仕事柄と、アマチュア無線をやっている関係で、だいたいスラスラ出てくる程度ではありました。
覚えるときもそんな時間がかかった印象はないので、もう少し余分に時間を取れば覚えられるでしょう。
覚えるだけではスラスラ出てこないので、街中でみかけた英単語をフォネティックコードで読み上げる、というちょっとした練習をしていました。


受験にあたって使用したテキストはこちら。試験会場でも大変良く見かけました。

やさしく学ぶ 航空無線通信士試験

やさしく学ぶ 航空無線通信士試験

購入したテキストはこの1冊だけです。
勉強方法は、ひたすら過去問を説いて、間違えたところ、カンで当たってしまったところはこのテキストを見て正解と理由を覚える、をひたすら繰り返しました。
勉強したのは無線工学と法規のみで、英語と電気通信術は勉強してどうにかなるという科目ではないので、自分を信じます。
電気通信術で使うフォネティックコードは覚える必要があります。
勉強期間としては、だいたい1日1-2時間程度を正味3週間~1ヶ月といったところです。正味ということは、集中力がないので、ぐーたらしている期間を合わせると2ヶ月くらい前から問題を見たりていたかもしれません。
だいぶだらだらやりました。
過去問は過去2回分が日本無線協会のWebページで公開されています。
それよりも前のものは、検索すると掲載しているサイトが幾つか見つかりましたので、参考にさせていただきました。

さて、気になる試験の内容ですが、科目は次の4科目です。

・無線工学
・法規
・英語(筆記、リスニング)
・電気通信術

それぞれの内容や難易度は次のような感じでした。
無線工学と法規はほとんどが過去問か、それに酷似した問題ですので、覚えればなんとかなります。
英語はどうやって勉強したらいいのかわかりませんが、問題の形式やパターンは覚えておくと良いでしょう。

・無線工学

無線の基本的な内容は第四級アマチュア無線技士程度だと感じました。軽い無線の知識があればひたすら覚えるのみ。
知らなくても覚えて覚えられない内容ではないと思います。
あとは、航空機関連の無線設備の概要が問われます。
例えば、ILS(計器着陸装置)に使われる無線設備の概要などです。
あくまで概要ですので、簡単に覚えられました。この程度なら興味もあって面白いで済む程度です。

・法規

ひたすら覚えるのみ。
無線の基本的な法規関係事項に加えて、航空機関連の知識も問われます。
例えば、緊急事態を宣言した航空機の無線を受信したときにどうしないといけないか、というようなことです。

・英語

英語は大きく分けて次のような内容です。

・長文の英文を読んで、それに関するいくつかの英語の設問に答える
・1つの短い英文を読んで、英語の設問に答える
・英文の穴埋め
・リスニング

の4種類の問題があります。
高校受験の試験のような感じです。
航空関連の内容が出てきますので、専門用語を覚えておくとわかりやすいですが、そんなにたくさん出てくるわけではないので、多くを知らなくてもなんとかなります。
リスニングが鬼門でした。
学生時代の試験のように、ネイティブ(イギリスだとかオーストラリアだとかは問わない)の人が読んでるのかと思えば、設問を読んでいるのはバリバリの日本人。しかも発音が結構つらい感じです。
確かに航空機の無線交信はいろいろな人が相当な訛りをもってして交信しているのでこれくらい聞けなきゃ、なのはわかりますが、問題としてはうーん。
英文は3回繰り返され、最初の2回はゆっくり、最後の1回はやたら早く(通常会話で早口くらいの印象)で読み上げられます。
読み上げられ始めて発音の残念さに気を取られたので、覚悟しておくと良いでしょう。

・電気通信術

電気通信術ってなんぞや、と私もなりました。
これは、英語のフォネティックコード(通話表)を「聞いて書き取る(受話)」「見て話す(送話)」の試験です。

フォネティックコードとは、アルファベットを間違いなく送るための喋り方で、例えばBとG、Dの発音は似ていて、無線や電話越しでは伝わらないことがあります。
そこで、B→Bravo, G→Golf, D→Delta といった、予め決められた単語に置き換えて喋るわけです。
例えば、"WINDMILL"という単語を送話するとなると、"Whisky, India, November, Delta, Mike, India, Lima, Lima"と喋ります。

通話表 - Wikipedia


これを2分間に100音(100単語)聞いてアルファベットを紙に書く試験(受話)、紙に書いてあるアルファベット100文字を2分以内にフォネティックコードに置き換えて喋る試験(送話)、を行います。
送話、受話の問題になるアルファベットは何かの単語や文章になっているわけではなく、完全にランダムです。

この電気通信術で、特に受話は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
余裕だろうとナメてかかったら、ちょっと焦りました。
100文字(単語)読み上げられたあとに、「おわり」と聞こえてから5秒以内に筆記用具を置かなければなりませんので、訂正する時間は基本的にありません。
また、メトロノームを50にセットして鳴らしてみればわかりますが、そのペースで紙にアルファベットを100文字連続で書かなければなりません。思った以上にずっと大変でした。
また、鉛筆やシャープペンシルが折れたらだいぶ危険です。
実は電気通信術の受話ではボールペンの使用が認められるので、ボールペンを使うことをおすすめします。
が、ボールペン使っていいよと言われたのは、試験開始の説明のときで、そのときにはすでに余分な筆記用具は片付けているので手遅れでした。
予め確認して用意しておくと良いでしょう。
記入するための用紙は、「電気通信術 記入用紙」などと検索してもらえば出てきます。赤い罫線の入った横向きの用紙です。
こちらも発音は日本人で、随分独特な発音でしたが、決まった単語なのでそんなに苦になりませんでした。

送話の方は、同じ用紙に印刷されたアルファベットを、試験官と1対1で対面して喋ります。試験官は想像していたより近かったです。
また、同じ部屋で2組同時に試験を行ったので、部屋の対角で試験をしていましたが、思いっきり向こうの声が聞こえるのでそこそこ邪魔でした。
こちらも覚悟しておくとよいでしょう。
またこの電気通信術の送話は試験官と1対1で行いますので、受験番号順(私の時は4分割)でした。
運が悪いと40分程度待たされているようでした。
また、人数が多い場合は試験が翌日になるので、受験を決めたら応募開始からできるだけ早めに受験申請をした方が良いでしょう。


そして最後に、一番どうでもよくて一番大切なアドバイスですが、

衛星放送が見られるなら、

ナショナルジオグラフィックの「メーデー!:航空機事故の真実と真相 (AIR CRASH INVESTIGATION)」を見ましょう。

意外なところで助けになりました。というか、問題でそういう場面がでてきたときに、「メーデーでみた」といった具合にすんなりと理解できることがいくつかありました。

第8話「ドイツXL航空888T便」

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忘れて抜け落ちてるところがあるかもしれません、あくまで参考まで。